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書評:被差別の食卓 [毒]


被差別の食卓

そこそこ面白いのだけど,著者が若いせいか,せっかくの食文化本なのに「お前みたいな若造に何が分かる!」感が残りました.
著者は1970年代に大阪の被差別部落で生まれ,自分の大好物の「あぶらかす」(最近人気)が道路一本隔てた向こうの世界では全く知られていない食べ物であるとこに衝撃を覚え,世界中の不可触賤民独特の食べ物を調べたとか.



あたくしは思いっきり偏った思想の持ち主だから,祖父の代から斜め上から密入国した「在日」が大嫌いだとか,(父親が米軍に勤めていた関係で)「ク○ンボ」が(エッチ以外の目的では)大嫌いとか偏見に満ちているのですが,唯一関われないのが部落差別なんです.東京にはそんなものほとんど無かったから.
昭和一桁に阿佐ヶ谷で生まれた母親も「戦争中に疎開するまで部落なんて言葉知らなかった」と言っているぐらいです.
もちろん,三河島界隈とか中央線沿線にそういった地域があったらしいと言うのは知ってます.
あたくしは高校時代に「部落」の話を聞いて「田舎者を差別すること?」と思ってましたから.
元々江戸は臑に傷持つものの寄せ集めだったから「お互いの素性を詮索するのは不粋」みたいな文化があり,今でも「親は?兄弟は?」とかしつこく突っ込まれると「こいつ田舎者だ」と辟易してしまいます.



驚いたのが,著者が記述する1980年代の大阪被差別部落が,終戦直後の東京並みに時代遅れであったこと.ほとんど「泥の河」の世界.
著者が若く文章力に欠けるので,どんな食べ物について述べられても「美味しさ」も「不味さ」も伝わってこないんです.
でも,ロマがハリネズミを喰うとか,ヒンズー教徒のネパールの不可触賤民が牛を喰うとか言う話は面白かったです.
ブルガリアとイラクのロマを調査しながら比較言語学的な記述がない(ロマとスラブ語,ロマとアラビア語の比較はあるのに,ブルガリアとイラクのロマの比較が無い)
「世界中の不可触賤民には干し肉の文化がある」(いいえ,肉を喰う文化には必ず肉の保存のための干し肉文化があります)
この著者が三十年後に同じ本を書いたらおそらくもっと面白い内容になったと思いました.
それまでせいぜいいろんなものを喰って磨きをかけることですね!

で,会社の大阪出身20台後半の男の子に聞いたら「大阪では今でも同和教育がある」とのことでした.
15ヘェあげます.


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大通りの局

網野善彦氏の講談社学術文庫シリーズでは東西の差をわかりやすく読めますわね。食文化特化ではないですが生活文化系でとても好きな本、全冊は読んでないけど読みたいわ。○△区にもカワ剥こうはございますし○草の×△□狸とは関東その筋の江戸訴場総合窓口担当者(宿泊所兼務)の名前でございます。東では殆どヒソカに結構ご近所、ですのね。一時滞在市内に「あの小川の橋を踏んだら戻ってきても口利かない」という境がありましたが、訴訟古文書ではそこは別集団囲い場、江戸時代が昭和後期にもそのまま残ってました。物買う店も決められてたし苗字は皆同じで天然キティ多いし墓は土葬で坐桶、夕方は恐かったです。
by 大通りの局 (2005-07-09 21:18) 

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